【2009年11月10日】
京都の料理人で、信長はこの料理人に
「ウマいものを腹一杯食わせろ」
と言った。
料理人は「かしこまりました」と信長の目の前に料理を並べた。
信長は二口三口食べて、
「こやつの首を刎ねい!」
と命じた。
が、料理人は動じない。料理人は「これが一番の料理」と自分の料理に自信を持っていたからだ。
動じたのは側にいた明智光秀のほうだった。
光秀は
「御屋形様!打ち首だけは許してやって下さい!」
と必死になって料理人の命乞いをした。
信長は
「キンカンがそこまで言うのなら、明日もう一度料理を作らせて、もしウマい料理を作れたら許してやる」
と言った。
何で明智光秀のあだ名がキンカンなのか?金貨頭(秀才のこと)から来たのか、キンカンハゲ(10円ハゲのこと)から来たのか、オレはよく知らない。
ついでに言うと羽柴藤吉郎のあだ名は「サル」と「ハゲネズミ」だった。
次の日、料理人はまた信長の前に料理を並べた。
光秀は祈るような気持ちだった。「頼む。打ち首にならないでくれ」と。
信長は前の日とは打って変わって上機嫌で
「おまえは天下一の料理人だ。望みの国を与えて国持大名にしてやろうぞ」
と言った。
料理人は
「一国を与えられるよりも、『美味しい』と言ってもらえるほうが嬉しゅうございます」
と答えた。
光秀は料理人に「どうして御屋形様は機嫌が直ったんだ?」と聴いた。
料理人は
「信長公は京風の薄味よりも田舎風の舌が痺れるような濃い味がお好きなのでしょう」
と言った。
「京都通」の光秀は料理人と二人してゲラゲラ笑った。
最初に出した料理は京風の出汁のきいた薄味料理だった。
が、信長は「おまえは打ち首」と言ったので料理人は「そういうことか」と気付いた。
それで次の日は舌が痺れるような濃い味付けの料理を出したのだ。