【2011年5月12日】
「サルッ!オレの命令に従えないのか!!」
「いい加減にしろよオッサン!そんなんじゃ北陸斬り取るのに一万年かかるわっ!!」
羽柴藤吉郎は信長の命令で柴田勝家の下で北陸攻めに従軍していたが、もともと仲の悪かった二人、喧嘩別れは目に見えていた。
「いい加減にしろよオッサン!」
藤吉郎は捨て台詞とともに近江長浜に帰国した。
無断帰国。
しかもそれは上官たる勝家を罵った上での帰国。
「あのハゲネズミ、どうやって処刑してやろうか」
と、その殺害方法に悩むくらい怒った。
信長の激怒は計算済み。
藤吉郎は
「御屋形様はオレを殺さない。何故なら、オレにはまだ利用価値があるから」
と読んでいた。その読み通りなのだが、嘘でも芝居でも無断帰国について反省して見せなければならない。
最初、藤吉郎は静かに謹慎した。
しかし、信長は
「静かに謹慎だと?あいつまさか謀反を考えているんじゃないだろうな」
と謹慎したことについて疑惑の目を向けた。
この疑惑の目のことが藤吉郎の耳に入った。
藤吉郎は
「いかん。ただ反省してるだけじゃオレは謀反を疑われてしまう」
と思い、藤吉郎は奇策に出る。
毎日毎日、大枚はたいてどんちゃん騒ぎ。
「おまえ様!気でも触れたのかえ!!」
寧々は素っ裸で気分良く踊っている藤吉郎にたまらず怒鳴った。
が、藤吉郎は寧々に「おまえも脱げ。夫婦素っ裸で踊るぞ」と言い出す始末だった。
この馬鹿騒ぎの一部始終は寧々からの通報によって信長にもたらされた。
信長は、謀反の疑いを解いた。理由は、それだけの銭を使ってしまえば謀反どころではなくなるからだ。
「サル、久々に笑わせてもらったぞ」
信長は無断帰国を笑って許した。
が、ただでは許さない。
「サルよ、おまえには播磨攻めを命ずる」
「エエーッ」
藤吉郎はつい声を上げた。播磨は大小様々の豪族が割拠していて、まともなやり方では斬り取ることなど出来ない。
が、播磨は中国10ヶ国の入り口。播磨を攻略しなければ中国10ヶ国を斬り取ることは出来ないのだ。
「やられた…」
藤吉郎がそう思ったとき、信長はニタニタ笑っていた。
どんちゃん騒ぎというユーモアに「罰ゲーム」というユーモアで返した信長。
二人とも、見事だった。